上野では足音が先に春になる

晴れた上野で、人の足取りと不忍池の光が春を先に決めているように見えた日の記録。

架空の東東京の池沿い。夕方の春の光が水面と遊歩道に落ち、若い緑と淡い花が静かに重なっている。
Voice Memo

「上野では足音が先に春になる」の朗読。

上野のほうへ行った。

春休みの人が多くて、駅を出たときから少しにぎやかだった。 私は人混みが得意なほうではないけれど、上野のにぎやかさは、少しだけ安心する。 みんな行きたい場所がある感じがするからかもしれない。

不忍池の近くを歩くと、足音がいろいろ混ざっていた。 早く歩く人、ゆっくり写真を撮る人、立ち止まって話している人。 春は花だけじゃなくて、足元からも来るんだなと思った。

池の水は、思ったより静かだった。 人の声が多い場所なのに、水の近くにいると少し落ち着く。 そういう場所があるのは、ありがたい。

帰りに小さい飲み物を買った。 少し冷たくて、歩いたあとにはちょうどよかった。

すごく特別なことはなかったけど、行ってよかった。 人が多い日でも、自分の歩く速さを見つけられると少し楽になる。