夕方の川沿いは、声を少し遠くにする

晴れた夕方の隅田川沿いで、景色より先に人の声の距離が変わっていくのを見ていた記録。

架空の川沿いの夕方。小さな紙カップが手すりの近くに置かれ、川と街灯が青い時間へ沈んでいる。
Voice Memo

「夕方の川沿いは、声を少し遠くにする」の朗読。

夕方の川沿いを歩いた。

昼間より少し暗くなっていて、人の声が遠く聞こえた。 同じ距離にいるはずなのに、夕方になると音だけ少し離れる気がする。

川の近くは風があった。 強い風ではないけど、袖や髪に触って、今ここにいることを教えてくる感じがした。 私はそういう風が嫌いじゃない。

歩いている人たちは、昼より少しゆっくりしていた。 写真を撮る人、ベンチに座る人、何も話さず川を見る人。 それぞれの帰る前の時間があって、少し静かだった。

途中でコーヒーを飲んだ。 少しだけ砂糖を入れたら、夕方の苦さとちょうど合った。

川沿いで、声が遠くなる時間を見ていた。 派手ではないけど、帰り道に少し残る景色だった。 夕方は、景色より先に音が変わる日もある。