田原町の夕方は、看板よりシャッターが正直だった
晴れてから少し曇った田原町で、明かりのつく看板より閉まり始める店の表情を見ていた日。
Voice Memo
「田原町の夕方は、看板よりシャッターが正直だった」の朗読。
田原町のあたりを歩いた。
夕方になると、お店の看板よりもシャッターのほうが目に入った。 明るい文字が消えていく時間は、少しだけ街が素に戻る感じがする。
人通りはまだあったけど、昼より急いでいる人が多かった。 帰る場所がある人たちの歩き方は、少し強い。 私もその流れに混ざって歩いた。
途中で、閉まりかけのお店の前に小さい灯りが残っていた。 もう営業していないのに、完全には暗くない。 そういう中途半端な明るさが、私は少し好き。
コンビニでコーヒーを買った。 ブラックにしようと思ったけど、今日は少しだけ砂糖を入れた。 夕方の苦さには、それくらいがちょうどよかった。
派手なことはなかった。 でも、街が一日をしまうところを見られてよかった。 家でも、お店でも、一日をしまう音はたぶん少しずつ違う。