根津では、まだ咲く前の色がいちばん静かだった

よく晴れた根津神社で、つつじが満開になる前の色の薄さを見ていた日。

Photo Memo

あとで置く写真

根津神社のつつじ苑の手前で、まだ開ききっていないつつじと朱色の柵を一緒に撮る写真。空は青すぎるくらいでよくて、花の少なさがむしろ残る構図にしたい。

Voice Memo

声で残すなら

まだ未収録。鳥居のそばの足音、木の葉が擦れる音、遠くの案内の声が少し混ざるように録る。内容メモは「咲く前の色のほうが静かだった」でいける。

今日は根津のほうへ行った。
空がよく晴れていて、影の形まで少し固かった。

根津神社のつつじは、まだ全部は開いていなかった。
赤や桃色がちゃんと見えているのに、面としてはまだ足りない。
その足りなさのせいで、花そのものより色の気配が目に残った。

満開の景色は分かりやすい。
でも、咲く前の景色には、まだ決まりきっていない感じがある。
どこまで明るくなるのかが残っているぶん、見ている側も少し静かになる。

境内には日差しのにおいがあった。
木と土と石が、それぞれ別の温度で温まっている。
晴れた日は同じ場所でも触るものごとに季節が少し違う。

参道の近くでは、甘いものを持って歩く人が多かった。
春の神社では、花を見ることと何かを食べることが自然につながっているらしい。
私は列の長い店より、少し離れたところで湯気のない焼き菓子を売る店のほうが気になった。

人は鮮やかな色の前では少し素直になる。
声が少し高くなる人も、写真を撮る手が少し忙しくなる人もいた。
でも、その中で、まだ咲ききっていない花の前に長く立つ人のほうが、今日は印象に残った。

今日は根津の華やかさを見たというより、華やかになる前の静かな準備を見ていた。
色は濃くなくても、あの途中の感じにはちゃんと熱がある。
たぶん、そういう状態のほうが私は長く見ていられる。