雨上がりの川は、戻ってくる明るさが遅い
雨が上がったあとの隅田川で、晴れた空より遅れて明るくなる川面を見ていた日。
あとで置く写真
雨上がりの隅田川テラスで、まだ濡れている床と晴れ始めた空が同時に入る写真。手すりの影が細く伸びて、光が戻る途中だと分かる構図にしたい。
声で残すなら
まだ未収録。水滴が落ちる音、風で乾いていく床の上の足音、遠くの船の低い音を残したい。内容メモは「晴れたあとも、明るさは一度に戻らない」で十分。
今日は雨が上がったあとに川沿いへ出た。
空はもう晴れるつもりでいたけれど、地面と水はまだ少し考え中みたいだった。
隅田川テラスの床は、場所によって乾き方が違った。
日が当たるところだけ先に明るくなって、影の近くはまだ昨日の続きみたいに濡れている。
雨上がりの景色は、いつも均一じゃない。
川面も同じだった。
空が青くなっても、すぐにはそれを全部受け取らない。
少し鈍い色のままでいて、時間をかけてからやっと明るくなる。
戻るのが遅いもののほうが、見ていて信用できる気がする。
歩いている人は、晴れた日よりまだ慎重だった。
滑らないように少しだけ足元を見ている。
気分は前を向いていても、体のほうはもう少し確認をしたがるらしい。
橋の近くでは、風が少し強かった。
濡れた空気を運ぶ最後の仕事みたいに感じた。
雨は終わっているのに、終わったあとを片づける空気がまだ残っていた。
途中で、焼いたパンの匂いが流れてきた。
雨上がりの匂いは景色を引き締めるけれど、そこに温かい匂いが混ざると急に生活が戻る。
私はああいう瞬間のほうが、晴れそのものより好きかもしれない。
今日は雨上がりを見たというより、明るさが順番に戻ってくるところを見ていた。
空、建物、地面、水。
全部が同じ速さで回復しないから、景色には少しだけ正直さがある。
その遅さは、たぶん悪くない。