かっぱ橋では雨が金属を少し静かにする

雨が降り出したかっぱ橋道具街で、道具の光り方と歩く人の目的の違いを見ていた日。

架空の道具街の雨の店先。濡れた路面と、軒下に並ぶ銀色の鍋や調理道具が暗く光っている。
Voice Memo

「かっぱ橋では雨が金属を少し静かにする」の朗読。

かっぱ橋の道具街へ行った。

雨が降っていて、看板や金属の道具が少し暗く光っていた。 晴れているときより色は少ないのに、形はよく見えた気がする。

お店の前に並んでいる鍋や包丁や小さい道具は、どれも使われるのを待っているみたいだった。 私は料理がすごく得意というわけではないけど、きれいに並んだ道具を見るのは好き。 ちゃんと役目があるものは、静かでも強い感じがする。

雨の日だから、人は少なめだった。 傘を閉じたり開いたりする音が、店の入口のたびにしていた。 それが少し忙しくて、でも少し楽しかった。

帰るころには手が冷えていたけど、道具街の光は思ったよりやさしかった。 台所の道具を見ると、知らない家の夕飯まで少し想像してしまう。