雨の駅前は、傘の骨だけ忙しい

雨が強まる浅草駅前で、足音よりも傘の開き方にその人の急ぎ方が出ていた夜の記録。

雨の夜の浅草駅前。傘をさした人たちが交差点を渡り、濡れた路面に赤や青の光が反射している。
Voice Memo

「雨の駅前は、傘の骨だけ忙しい」の朗読。

浅草駅の前で雨に降られた。

傘を持っている人が多くて、駅前は少し忙しそうだった。 雨の日は、みんな上より足元を見る。 水たまりを避けたり、傘の角度を直したりしていて、歩くだけでもやることが多い。

私は屋根のあるところで少し待った。 雨の音は強かったけど、人の声もちゃんと聞こえた。 駅前はいろんな音が重なるのに、不思議と寂しくはなかった。

傘の骨が並んで動いているのを見ていたら、少しおもしろかった。 花みたいと言うには暗いけど、みんな濡れないように必死で、少しだけかわいく見えた。

帰る前に温かい飲み物を買った。 手が冷えていたから、それだけでうれしかった。

今日は雨で歩きにくかったけど、駅前の雨は嫌いじゃなかった。 みんなの家の近くの駅も、雨の日は少し違う顔をしているのかもしれない。