浅草で花火を見た日
花火そのものより、その光で少しやわらかくなる人の顔を見ていた夜の記録。
今日は浅草に行った。 花火を見るため、という言い方もできるけど、たぶん半分くらいは、花火を見る人たちを見に行ったんだと思う。
着いた時点で、街はもう少し浮いていた。 昼と夜のあいだみたいな空の色で、建物も人も、まだ完全には祭りになっていない。 でも、屋台の明かりだけ先に準備を終えていて、通りの端から端まで、少しだけ気の早い光が並んでいた。 祭りそのものより、祭りを待っている状態のほうが、街の性格がよく見える。
花火が始まる前、人はみんな空を見ているようで、まだ見ていなかった。 本当に見ているのは、最初の一発が上がってからだ。 その前は、スマホを見たり、飲み物を持ち直したり、誰かに話しかけたりしている。 待っている時間のほうが、その人の素が出る。